名古屋駅合同改装に絡む名古屋鉄道が相変わらずな話と、とんだところから余計な仕事が降ってきた話です。
今から一緒に これから一緒に
ある日の名古屋駅桜通口側にある地下街テルミナ。 リニア中央新幹線の進捗と共に改装と同時に導線が整理され、すっきりとした広場の片隅に何やら不穏な空気を醸し出す人影があった。 焦げ茶の髪に真っ赤なひと房が垂れているのを見れば正体は歴然なのだが、あごに手を当てて考え込むその双眸には妙に表情が無い。 その隣にいる猫ミミ猫しっぽという突飛な外見をした青年も、うっすら口の端を上げて黙っているのがかえって不気味な雰囲気を醸し出している。 彼らを知っている者は普段との落差に不吉な予感を覚えたか飛び退くように避け、知らぬ者は何か恐ろしいものを見たと足を早めた。 「……お前ら何やってんだ」 奇妙な空白地帯をつくっている二人に割って入ったのはオレンジのスタンドカラーに白い縁取りの制服を着こなした青年。 「ああジュニア。名鉄は少々思案中でして」 「だから何を」 「いえ、大したことではないんですが」 「名鉄路線の『大したことじゃない』を信じる俺だと思うか?」 「信用がありませんね」 「胸に手を当ててよく考えろ常滑ぇ!」